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「賀集由美子の見たインドネシア〜チレボンのバティック」展

投稿者:TabisuruPenko
日程
2024/03/16~2024/03/17
時間
16日:午前10時~午後6時、17日:午前10時~午後4時
場所
佐倉市立美術館
お問い合わせ先
tabisurupenko@gmail.com
関連サイト
https://twitter.com/tabisuruPenko

3月16日(土)〜17日(日)、千葉県の佐倉市立美術館3F市民ギャラリーで、「賀集由美子の見たインドネシア〜チレボンのバティック」展を開催します。
■バティックとは?
インドネシアのろうけつ染め「バティック」(batik)は、世界中にあるろうけつ染めの中でもトップクラスの技術と美術性を誇り、国連教育科学文化機関(UNESCO)の世界無形文化遺産にも指定されています。ジャワ島の王宮文化として発達し、インドや中国、ヨーロッパなどの多様な外来文化を取り入れながら、ジャワ島各地を中心に開花していきました。
バティックは、マレーシアや日本で多い、筆による色挿しではなく、染色液に浸す染色(浸染)が一般的です。このため、多色に染める場合は、「その色にしない部分をいったん蝋伏せしてから染色する」という工程を、何度も繰り返します。布の精練から始まり、下描き、何度もの蝋描きと蝋伏せ、染色、蝋落としに至るまで、多数の職人の手を経る長い工程があります。細かい模様の多色染めだと、布1枚(通常の大きさは約1メートル x 約2.5メートル)を作るのに6カ月余りもかかります。
ジャワ島北岸にある西ジャワ州チレボン(Cirebon)は、有名なバティック産地の一つです。昔から、多様な文化が混じり合う国際的な交易港であり、華やかな色彩や柄の、面白いバティックが多く見られます。
■チレボンに根差した賀集さん
賀集由美子(かしゅう・ゆみこ)さんは東京造形大を卒業後、染織の研究のためにインドネシアへ渡り、1994年からチレボンに住み始めました。チレボンでバティックを学びながら、1999年に自宅ガレージを改造した工房で、自分の作品を作り始めました。2000年に制作活動を本格化し、手描きバティック工房の「パチェ工房」(スタジオ・パチェ、Studio Pace)を立ち上げました。「パチェ」とは、賀集さんの好きだった天然染料、ヤエヤマアオキ(アカネ科の植物)のジャワ語です。
チレボンでバティック工房を営むインドネシア人の師匠、友人、職人さんらと深い繋がりを築きながら、独自の作品を作り続けました。使いやすいバティック小物や、オリジナル・キャラクターであるペンギンの「ペン子ちゃん」が人気を博します。バティック布の大作から、型押しバティックやシルクスクリーンの製品まで、幅広い作品を制作していました。温かい人柄がインドネシア人と日本人の双方から愛され、インドネシア文化であるバティックと多数の日本人を繋いだ、その功績は計り知れません。
賀集さんの日本の実家は千葉県佐倉市で、日本に帰国した際は、佐倉のマンションを拠点としていました。強い「千葉愛」の持ち主で、2019年の台風15号被害の際には「We Love Chiba」のエコバッグをチャリティー制作して、売上金を復興支援に寄付しました。千葉名産の落花生柄や、佐倉のオランダ風車柄など、千葉にちなんだ作品も制作しています。
賀集さんはコロナ禍中の2021年6月29日、チレボンの自宅で逝去しました。インドネシアと日本の友人たちから深く悼まれ、ジャカルタでは追悼の「ペン子ちゃんトリビュート展」、日本では「ペン子ちゃんカフェ」が開催されました。こうした追悼イベントだけでなく、賀集さんの功績やインドネシアのバティックを紹介する作品展を開きたいとの思いから、インドネシアと日本の友人有志により、2024年3月に賀集さんゆかりの地である佐倉で、作品展が開催されることになりました。
作品展では、賀集さんの知られざる功績を、日本の、特に地元・佐倉の方々に知っていただき、同時に、インドネシアのバティックやインドネシアに触れていただく機会となれば、と願っています。